ネット銀行の存在感が薄くなってきた理由とは?低金利時代と違う金利上昇局面において都銀・地銀の方が有利になる理由とは?

住宅ローン相談・住宅ローンの基礎知識

関連記事:関西の新築一戸建てを仲介手数料最大無料で購入するはこちら

最近、ネット銀行の存在感が薄れ、地銀の存在感が強くなっています。体力のある地銀の存在感が増している理由は、金利上昇局面であることと関係があります。この記事を読むとこれから、住宅ローン選びの着眼点がわかります。35年トータルでお得に住宅ローンを借りれするための銀行の選び方について、不動産業界歴20年以上のプロが徹底解説していきます。

低金利時代は間接コストがかからないネット銀行有利だったが、金利上昇局面においては店舗のある都銀・地銀の方が有利になるのか

最近、以前ほど、ネット銀行の住宅ローンにおける金利の存在感が薄くなってきたと感じている方は多いのではないでしょうか?「金利上昇局面では、店舗網や強固な顧客基盤を持つ都銀(メガバンク)や地銀が、資金調達の面で構造的に有利(優位性が高まる)」というのが最近の傾向で、住宅ローンの金利においては地銀の存在感が増してきています。

低金利時代は「コストの低さ」がネット銀行の最大の武器でしたが、金利のある世界(金利上昇局面)に入ると、「いかに低コストで安定した預金(原資)を集められるか」という調達力の勝負にシフトするためです。

この構図が起こる理由と、ネット銀行が今後直面する課題について、3つのポイントで整理しました。

1. 預金(調達)コストの圧倒的な差

銀行にとって、貸出金の原資となる「預金」は仕入れ商品です。金利が上がると、この仕入れコストに差が出ます。

  • 都銀・地銀の強み(粘着性のある預金): 都銀や地銀には、企業の決済口座、個人の給与振込・年金受取口座、地域の高齢層の資産など、「金利が多少低くても動きにくい預金(粘着性預金)」が大量に滞留しています。そのため、市場金利が上がっても、普通預金金利をそこまで引き上げずに大量の資金を維持できます。結果として、極めて低いコストで資金を調達し、高い金利で貸し出すことで「利ざや(マージン)」を大きく拡大できます。
  • ネット銀行の弱み(金利敏感な預金): ネット銀行の預金者は一般的にマネーリテラシーが高く、0.1%の金利差でも敏感に資金を移動させます。ネット銀行が資金(原資)を繋ぎ止めるためには、市場金利に合わせて預金金利をスピーディーに引き上げ続けざるを得ず、調達コストが跳ね上がりやすくなります。

2. 「変動金利ローン」への影響とジレンマ

住宅ローンなどを貸し出す側(運用面)でも、ネット銀行はジレンマに直面します。

  • ネット銀行の多くは、低金利を武器に「変動金利」の住宅ローンシェアを拡大してきました。
  • しかし今後、調達コスト(預金金利)が上がれば、収益を維持するために住宅ローンの適用金利(変動金利)を上げざるを得なくなります。
  • もし金利を上げれば、今度は「低金利」というネット銀行最大の強みが薄れ、他社への借り換えや顧客離れを招くリスク(競争力の低下)に繋がります。

3. 店舗・人員という「固定費」の見え方の変化

  • 低金利時代: 運用利ざやが極限まで削られていたため、店舗や人件費などの「間接コスト」は銀行経営の重荷でしかなく、それを持たないネット銀行が圧倒的に有利でした。
  • 金利上昇局面: 貸出金利が上がることで十分な利ざやが確保できるようになると、都銀や地銀にとっては、店舗や人員の維持コストを吸収して余りある収益が生まれるようになります。つまり、「重荷だった店舗網」が、皮肉にも「低コストな預金を集める最強の砦」へと変貌するわけです。

まとめ:金利上昇局面ではネット銀行が不利になる!

都銀・地銀の優位性が高まるのは間違いありませんが、ネット銀行が完全に失速するかというと、そこは各社の構造によって分かれます。とはいえ、都銀は、海外で利益を稼いでいるのであまり住宅ローンに力を入れていない傾向があり、住宅ローンの金利という視点では、地銀が強くなっている傾向があります。

証券口座との連動(SBI証券のハイブリッド預金や楽天証券のマネーブリッジなど)で自動的に生活資金が集まる仕組みを確立しているネット銀行や、親会社の巨大な経済圏(流通・通信など)に組み込まれている銀行は、比較的安定して低コストな預金を集め続けられるため、粘り腰を見せるはずです。

一方で、そうした背景を持たず、単に「高金利な預金」と「低金利な住宅ローン」の薄利多売だけで成長してきたネット銀行は、金利上昇局面で最も厳しい舵取りを迫られることになります。

都銀・地銀の基準金利の引き上げ幅よりネット銀行の引き上げ幅が大きい銀行が多い理由は?

関連記事:関西の新築一戸建てを仲介手数料最大無料で購入するはこちら

ネット銀行が都銀・地銀に比べて住宅ローンなどの基準金利(店頭表示金利)を大きく引き上げている背景には、「預金を集め続けるための調達コストの急増」があり、それが経営(利ざや)を圧迫している、または圧迫するリスクを先取りして手を打っている状態と言えます。基準金利の引き上げ幅は、すでに住宅ローンの借り入れがある方に大きな影響を与えます。

なぜネット銀行がより追い込まれやすいのか、その舞台裏にある構造をもう少し深掘りして解説していきたいと思います。

関連記事:新規は優遇され、既存顧客は損をする!最優遇金利(適用金利)だけで銀行をみると騙される!金利上昇局面においては基準金利の値動きに着目!

1. 預金流出を防ぐための「高金利維持」という足枷

ネット銀行の生命線は、ネット上で集まる流動性の高い預金です。 金利が上昇する局面において、都銀や地銀が「普通預金金利を少しだけ上げる」程度に留めても顧客が逃げないのに対し、ネット銀行はそうはいきません。

  • 引き上げざるを得ない: もしネット銀行が市場の金利上昇に合わせて預金金利を魅力的な水準まで引き上げないと、顧客はより条件の良い他社や、安全資産である個人向け国債などに一瞬で資金を移してしまいます。
  • 調達コストの直撃: 結果として、ネット銀行は「高い預金金利」を払い続けなければならず、銀行全体の原資(仕入れ)のコストが都銀・地銀より圧倒的に早く、高く上昇します。

2. 「逆ざや」を防ぐための基準金利引き上げ

銀行のビジネスは、預金金利(仕入れ)貸出金利(売値)「利ざや」で成り立っているシンプルなビジネスです。

仕入れ値である預金金利や市場からの調達金利がこれだけ上がっているのに、売値であるローンの基準金利を据え置いてしまえば、利ざやが極限まで縮小するか、最悪の場合は「逆ざや(仕入れ値の方が高くなる現象)」に陥ってしまいます。

そのため、ネット銀行は都銀・地銀以上にドラスティックにローンの基準金利を引き上げ、売値を高く設定し直すことで、なんとか利ざや(経営の健全性)を確保しようとしているのです。

3. なぜ「基準金利」だけが先行して上がるのか?

ここで重要なのは、多くのネット銀行が引き上げているのは「基準金利(定価)」であり、新規顧客向けの「適用金利(実際の販売価格)」はそこまで上げていない(あるいは、引き下げ幅=優遇幅を拡大して調整している)ケースが多い点です。

これにはネット銀行特有の「既存顧客」へのアプローチが関係しています。

  • 既存の変動金利ユーザーから利ざやを確保する: 基準金利を上げれば、すでにそのネット銀行で変動金利ローンを組んでいる膨大な既存顧客からの利息収入を増やすことができます。これで調達コストの増加分を相殺(カバー)しようとしているわけです。住宅ローンを利用している既存顧客からすると騙されたという心境になるかもしれません。あるいは、気づいていないかもしれません。
  • 新規顧客向けの「値下げ競争」の限界: 一方で、新規の適用金利まで爆発的に上げてしまうと、他社とのシェア争いに負けてしまいます。しかし、調達コストが上がっている以上、新規顧客向けにもこれ以上の無理な低金利(薄利多売)を続けるのは難しくなってきており、限界を迎えた銀行から順次、実際の適用金利も段階的に引き上がっています。

💡 ここがポイント:都銀・地銀の「不気味な余裕」 都銀や地銀は、前述の通り「金利を上げなくても動かないタダ同然の預金(給与振込口座など)」が大量にあるため、仕入れコストがほとんど上がっていません。だからこそ、ローンの基準金利を急いで大きく上げる必要がなく、ネット銀行に比べて「引き上げ幅をマイルドに抑える」という横綱相撲ができる経営体力(構造的優位性)があるのです。都銀・地銀は、日銀の利上げ+0.25%に対して、+0.25%しか基準金利を上げていないのに対し、ネット銀行で体力の弱い銀行は、+0.3%+0.35%上げている銀行があります。

まさに低金利時代に「身軽で最強」だったネット銀行のビジネスモデルが、金利上昇局面においては「仕入れの弱さ」という最大の弱点として裏目に出ている形です。

金利上昇局面において、経済圏(SBIや楽天など)を持つネット銀行と、そうでない単独のネット銀行で、調達コストが違う!

金利上昇局面において、「経済圏を持つネット銀行」「単独(非経済圏型)のネット銀行」の防衛策には、顧客がその銀行に預金口座を置く『理由(動機)』の構造によって、明確な違いが出ています。

結論から言うと、経済圏型は「生活の利便性や投資の自動化」を盾に低コストな預金を囲い込んでいますが、単独型は「預金金利そのものの魅力や独自の付加価値」をギリギリまで尖らせて対抗せざるを得ない状況です。

具体的にどのような防衛策の違いが出ているのか、両者の戦略を比較して解説します。

1. 経済圏型ネット銀行の防衛策(SBI、楽天など)

住信SBIネット銀行や楽天銀行、auじぶん銀行などの最大の強みは、「預金金利の高さ『だけ』を目的にしていない顧客」を大量に抱えている点です。囲い込みができている銀行ほど、基準金利の引き上げ幅を抑えることができます。

証券連携による「オートスイープ(自動入出金)」の罠

彼らの最強の防衛策は、SBI証券楽天証券といったグループ内の証券口座との連携機能です(SBIの「ハイブリッド預金」、楽天の「マネーブリッジ」など)。

  • 動かない資金の確保: 投資家は、株やNISA(少額投資非課税制度)で次に何を買うか決まっていない「待機資金」をこの口座にプールしています。
  • 利ざやの防衛: 連携口座には確かに一定の優遇金利が設定されていますが、これは市場の短期金利が急上昇する局面においても、銀行側が「コントロールしやすい金利」です。顧客は「投資の利便性」のために口座を維持しているため、金利が市場より多少低くても、一瞬で資金を他行に流出させるような行動(金利ホッピング)をあまりしません。

決済・生活インフラとしての「粘着性」

給与振込口座への指定クレジットカード(楽天カードなど)の引き落とし共通ポイント(Vポイントや楽天ポイント)の還元率アップなど、生活インフラとして深く組み込まれています。 これにより、都銀や地銀が持っているような「金利に鈍感で、解約されにくい預金(粘着性預金)」をネット上で擬似的に作り出すことに成功しており、調達コストの爆発的な高騰を抑える防衛策となっています。

また、地銀では、住宅ローン利用時の超低金利の最優遇金利の条件として、給与振り込みが条件になっていることが多いです。

2. 単独型(非経済圏型)ネット銀行の防衛策(ソニー銀行、UI銀行など)

バックに巨大な証券会社やECモール、通信キャリアなどの経済圏を持たない単独のネット銀行は、上記のような「利便性による囲い込み」が使えません。そのため、防衛策はよりシビアで尖ったものになります。

「期間」を区切った定期金利による防衛(資金のロック)

顧客が金利に非常に敏感であるため、普通預金だけで勝負すると他行に資金を抜かれてしまいます。そこで彼らは、「高金利の定期預金(半年〜1年など)」を機動的に投入する戦略をとります。

  • 市場金利がこれ以上上がる前に、1年定期などの形で資金を一定期間「ロック」してしまいます。
  • これにより、毎日のように金利が変動するリスク(調達コストの不安定化)を抑え、数ヶ月〜1年先の調達コストを確定させて経営の予測可能性を保ちます。

ターゲットを絞った「外貨」や「住宅ローン」のセット戦略

例えばソニー銀行などは、単なる円預金口座ではなく「外貨預金や海外旅行での決済(Sony Bank WALLET)」に強みを持っています。

  • 外貨調達とのクロス: 円の調達コストが上がっても、すでにノウハウがある外貨(米ドルなど)の運用利ざやでカバーする、あるいは「住宅ローンを組んでくれたら、円預金金利を優遇する」といった、ピンポイントのクロスセル(抱き合わせ)で調達コストを相殺する防衛策をとっています。

ビジネスモデルの構造の違いまとめ

特徴経済圏型ネット銀行(SBI・楽天など)単独型ネット銀行(ソニーなど)
預金が滞留する理由投資の待機資金、ポイント、生活決済純粋な金利の魅力、特定の専門機能
主な防衛策証券連携、グループ経済圏での囲い込み期間限定の高金利定期、外貨・ローン連携
調達コストの柔軟性高い(利便性があるため、金利を抑えやすい)低い(金利を下げると一瞬で流出する)

結論:ネット銀行でも仕入れ力(預金)に差がある

金利上昇局面において、より経営(利ざや)に余裕を持てるのは、やはり「経済圏型」です。彼らは都銀・地銀ほどではないにせよ、ネット銀行の中では突出して「低コストで安定した預金」を集める仕組みを完成させています。

一方で単独型は、調達コストが市場金利にダイレクトに連動しやすいため、よりシビアにローンの貸出金利(売値)を上げていかないと経営が圧迫されるという、シビアな現実に直面しています。

REAL BANK
未来の価値ある住文化を創造する
アーバン・サイエンス株式会社
〒564ー0063
大阪府吹田市江坂町1丁目16番10号 メゾン江坂102
TEL 06-6155-4980
E-mail:info@realinfobank.com
【当社HP】
https://www.realinfobank.com/

タイトルとURLをコピーしました