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同じ物件を購入するにしても、どの仲介会社から購入するかで、トータルコストが大きく違ってきます。不動産取引において、どういったところに注意しなければいけないのかを不動産業界歴20年以上のプロが簡潔にまとめました。
車業界では総額表示が広告の条件となっているが、不動産業界ではそうでない理由

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自動車業界(特に中古車)でビッグモーター事件があり2023年10月から「支払総額」の表示が義務化された一方、不動産業界の広告で同じような「購入総額」の表示がなかなか義務化されないのには、「買い方や物件の性質によって、人それぞれ諸費用が激変する」という構造的な違いがあるため総額表示を義務化する難しさがあります。
車と不動産の広告において、なぜ対応が分かれるのか、大きく4つの理由があります。
1. 「仲介手数料」という最大の変動要素がある
自動車の販売は、ディーラーや中古車販売店が「売主」となるケースがほとんどです。そのため、販売店側で自社の利益や手数料をコントロールし、総額に組み込むことができます。
一方で、不動産取引の多くは「仲介(媒介)」です。また、仲介手数料は、仲介会社にとって売り上げとなり重要な要素となります。そのため、ホームズやアットホーム等のポータルサイトのお客様は仲介会社のため、仲介手数料の割引や無料等の文言を記載することは禁止されています。スーモは記載は2023年からできるようになっていますが、目立たないところに記載できるようになっているため、スルーしてしまうことが多いと考えられます。また、そもそも割引や両手取引の場合、買い手側を無料にする会社は、ポータルサイト(スーモ・ホームズ・アットホーム)をほとんど利用していないことが多く、掲載数が多い(広告費を大量投入している)のに、割引や仲介手数料無料をうたっているということは、裏があると考えるのが自然です。例えば、新築建売でも不要な測量費用等を請求している例を見ることがあります。不要なオプションを半強制的につけるようにしむけ、キックバックを狙うケースもあります。
- 仲介手数料の存在: 法律で定められた上限(「物件価格の 3%+6万円 + 消費税」など)はありますが、これはあくまで上限です。あくまで上限なので、仲介会社の企業努力により割引することは可能です。
- 業者による割引はあるがどこが総額が安いかはわからない: 業者によっては、両手取引になる新築建売などでは「仲介手数料半額」や「無料」を売りにしているところもありますが、仲介手数料割引の文言記載が禁止されているため広告をみる段階では「どの仲介業者が、いくらの手数料で取引するか」が確定できません。ただ、ビジネスモデルのロジックを考えるとわかりますが、ポータルサイトの広告は、年々費用対効果が悪くなっている上に高額なため売り上げに占める広告費(広告費率)が50%以上になるケースもざらにあります。そのため、仲介手数料の割引をする会社は、あまりポータルサイト(スーモ・ホームズ・アットホーム)に掲載せず、自社メディア(HPやSNS)で集客し、お金がかからない運営をしています。
2. 「税金」が買う人の条件によって全く異なる
車にも税金(環境性能割や重量税など)はかかりますが、車種や時期が決まれば一律で計算できます。しかし、不動産の税金は「買う人の状況」によって劇的に変わります。
- 登録免許税の軽減措置: 「自分が住むための家(自己居住用)」として買う場合は税率が低くなりますが、「セカンドハウス」や「投資用(賃貸)」として買う場合は、同じ物件でも税金が跳ね上がります。
- 不動産取得税: 物件によって、のちに発生する控除額が変わります。
広告を出す時点では「どんな人が、何の目的で買うか」が分からないため、一概に税金を総額に組み込めないのです。
3. 「ローンの組み方」で諸費用が数十万円変わる
車もローンを組みますが、不動産ローン(住宅ローン)は金額が大きいため、保証料や手数料の仕組みが複雑です。
- 保証料の支払い方: 最近は保証料型を選択する方は少ないですが、保証料型の場合、保証料を「一括で前払い(頭金のように出す)」にするか、「毎月の金利に上乗せ」にするかで、購入時に現金で必要となる諸費用が数十万円単位で変わります。
- ネット銀行 vs メガバンク: 利用する金融機関によって、事務手数料型の計算方法(借入額の 2.2% か)あるいは、事務手数料型しか利用できない銀行(ネット銀行に多い)もあれば、事務手数料型か保証料型か選択できる銀行(都銀・地銀に多い)もありバラバラです。
- 事務取扱手数料や電子契約手数料:銀行によって事務取扱手数料や電子契約手数料が違います。また、ネット銀行では抵当権設定の司法書士が指定されるため、登記費用の総額が高くなります。(指定されないネット銀行もあります。)
4. 火災保険や登記の「個別性」が高すぎる
- 火災保険・地震保険: 補償内容をどこまで手厚くするか、何年契約にするかで数万〜数十万円の差が出ます。
- 司法書士への報酬: 登記手続きを代行する司法書士によって報酬額が異なります(新築等では売主指定の場合がよくあります)。相場はありますが、相場の範囲内で微妙に違ったり、司法書士によってはかなり割高な報酬を請求してくるケースがあります。
💡 消費税の「総額表示」とは意味合いが違う
なお、2021年4月から「消費税を含めた総額表示」は不動産業界でも完全に義務化されています。そのため、チラシやネットに載っている「3,000万円(税込)」という価格は、建物分の消費税が含まれた金額です(土地はそもそも非課税です)。
自動車業界で義務化されたのは、この消費税の話ではなく、「それがないと車が手に入らない最低限の諸費用(登録代行費用や自賠責保険など)までコミコミにした支払総額」です。
車は「店頭引き渡し」という標準的なゴールを設定しやすかったのに対し、不動産は「人によって、ゴール(引き渡し)までに通るルートとコストが違いすぎる」ため、一律の総額表示が技術的に難しい、というのが本質的な理由です。
キックバックがよくある不動産業界の中で買い手として何に注意して仲介会社を選択すべきか?

不動産業界や自動車業界など、紹介料や手数料、いわゆる「キックバック(紹介リベート)」の慣行が根強く残る業界において、買い手が不利益を被らないために最も注意すべきなのは、「その業者が、自分の利益(キックバック)のために動いているか、それとも買い手の利益のために動いているか」を見極めることです。
不動産購入を例に挙げると、キックバックは「リフォーム会社の紹介」「火災保険の加入」「特定の住宅ローンの斡旋」などで頻繁に発生します。
買い手として失敗しないために、仲介会社選びで注意すべき4つのポイントを解説します。
1. 提携先を「1社だけ」執拗に勧めてこないか
最も注意すべきは、選択肢を狭めてくる仲介会社や営業マンです。
- 危険なサイン: 「火災保険はうちの指定のここでないと審査に響きます」「リフォームは提携のA社が絶対に一番安いです」など、理由をつけて1社だけを強く推してくるケースです。これは、その会社から仲介会社(または担当者個人)に高額なキックバックが出る契約になっている可能性が高いです。
- 選ぶべき会社: 「提携先(A社)もありますが、ご自身で知り合いの方やネットなどで相見積もりを取られても全く問題ありませんよ」と、比較することを容認・推奨してくれる会社・営業マンは信頼できます。
2. 住宅ローンの事務手数料が不透明ではないか
住宅ローンを組む際、仲介会社が銀行を紹介する「ローン事務代行手数料」を利用することがよくあります。厳密に言うと、本来、ローンの手続き等のサポートは、仲介手数料に含まれているべき内容であり、仲介手数料満額の請求に加えて、ローン事務代行手数料が請求されている場合、仲介手数料の上限を超えて請求していることになり違法性があります。
- 注意点: 仲介会社から「ローン代行手数料(事務手数料)」として10万〜30万円ほど要求されることがあります。しかし、実際には銀行との書類のやり取りをするだけで、仲介手数料満額に加えて、請求してくる会社はかなり多いです。
- チェック方法: 「自分でネット銀行などの審査を通す場合、この代行手数料はかかりませんか?」と聞いてみてください。自分で手続きするのを嫌がったり、拒否したりする会社は、手数料や裏のインセンティブに依存している可能性があります。
3. 「諸費用の明細」が最初から具体的で、説明を濁さないか
キックバックが多い会社や、不透明な利益を得ようとする会社は、見積もり(資金計画書)の段階で「諸費用一式」のように項目を丸めがちです。
- チェック方法: 以下の項目を細かく確認してください。
- 火災保険料: 「なぜこのプランなのか、不要な特約は外せるか」
- 登記費用(司法書士報酬): 登録免許税と司法書士の報酬を分けて見積もりをチェックしてください。売主指定でも相場の範囲内でなく、高すぎる場合、クレームを入れるべきです。報酬が高い司法書士の特徴として、登録免許税と司法書士の報酬を合計にして見積もりを出してくることが多いです。
- 選ぶべき会社: 各項目の内訳を明確に説明し、「ここは削れます」「ここはご自身で手配した方が安くなります」と、買い手のコスト削減に協力的な姿勢を見せてくれる会社を選びましょう。
4. メリットだけでなく「デメリット」をプロの目で指摘してくれるか
仲介会社にとって最大の利益は、物件が売れたときに発生する「仲介手数料(+売主側からのキックバック・あんこ業者へのリベートなど)」です。そのため、契約を急がせるために「良いこと」しか言わない担当者は危険です。
- 選ぶべき会社: 「この物件は日当たりは良いですが、将来的に隣の土地に建物が立つリスクがあります」「修繕積立金の計画が少し不安です」など、買い手が気づかないリスクをあえて教えてくれる会社です。自分の目先の利益(契約)よりも、買い手の将来の不利益を回避しようとする姿勢こそが、最大の信頼指標になります。
💡 買い手としての防衛策(まとめ)
キックバックそのものは、企業間の合法的な営業努力(紹介料)であることも多いため、存在自体を完全に悪と決めつける必要はありません。大切なのは「それが理由で、自分が相場より高い買い物をさせられていないか」です。
- 必ず「相見積もり(あいみつ)」を取る(リフォームや保険、ローン金利など)
- 「自分で手配してもいいですか?」と聞いてみる(担当者の反応を見る)
- 「他社と比較して選ぶ」というスタンスを最初から伝えておく
この3つを徹底するだけで、キックバック目当ての悪質な仲介会社や担当者を自然とふるい落とすことができます。
諸費用の中でキックバックが多いのはどんな費用?火災保険?登記費用?

不動産購入の諸費用(特に住宅ローンを利用して家を買う場合)の中で、仲介会社や代理店へのキックバック(紹介料・代理店手数料)が構造的に組み込まれているもの、また不透明な上乗せが起きやすい費用を、金額の大きさや発生頻度の順に解説します。
1. 【最多・最大】火災保険・地震保険
諸費用の中で、仲介会社が最も熱心に勧めてくるのが火災保険です。これには明確な理由があります。
- キックバックの仕組み: 多くの仲介会社は、大手損害保険会社の「代理店」を兼ねているか、特定の保険代理店と提携していることがあります。買い手がその保険に加入すると、保険料の20%前後(場合によっては 15%〜30% 前後)が代理店報酬(紹介料)として仲介会社に入ります。
- なぜ高くなりやすいか: 10年契約から最長5年契約に法改正で短縮されたとはいえ、一戸建てのフルサポートプランであれば数万〜数十万円のまとまった金額になります。担当者はキックバックを増やすために、不要な特約(例えば、高台のマンションなのに「水災補償」をつけるなど)を盛り盛りにしたプランを提示してくることがよくあります。
2. 【隠れた上乗せ】登記費用(司法書士への報酬)
登記費用そのものは国に納める税金(登録免許税)ですが、手続きを代行する「司法書士への報酬(手数料)」の部分に仕掛けがあることがあります。新築の場合で、特定の仲介会社が絡んでいる場合、売主とグルになり高額な報酬がのせられていることがあります。
- キックバックの仕組み: 司法書士から仲介会社へ直接現金でバックされることもあれば、「いつも仕事を回してもらう代わりに、仲介会社の身内の登記を格安で受ける」といったバーター取引の形をとることもあります。報酬が相場の範囲内であるかチェックすることが大切です。
- なぜ高くなりやすいか: 司法書士の報酬は自由化されているため、相場が12万〜13万円のところを、20万〜25万円といった高い報酬(上乗せ分が実質の紹介料)で見積もりに載せてくることがあります。
3. 【金額が大きい】リフォーム費用・オプション工事
新築一戸建ての網戸・カーテンレール設置・カーポートのオプション工事等や、中古物件のリフォームです。
- キックバックの仕組み: 仲介会社が「提携のリフォーム業者」を紹介する場合、工事総額の 5%〜10% 程度の紹介料が仲介会社に支払われるのが業界の標準的な慣行です。
- なぜ高くなりやすいか: 工事代金が200万円であれば、10万〜20万円が紹介料になります。当然、その紹介料はリフォーム費用の見積もりに最初から上乗せされているため、買い手は相場より高い工事費を支払うことになります。
4. 【実質的な二重取り】住宅ローン代行手数料
項目名としては「キックバック」とは書かれませんが、構造は同じです。仲介手数料の二重取りともいえます。
- 仕組み: 仲介会社が銀行へ書類を提出する手間に代行手数料(11万〜33万円など)を要求するものです。
- 注意点: 仲介会社によっては、銀行から「融資実行件数のインセンティブ(優遇措置など)」を受け取りつつ、買い手からも手数料を取るという、実質的な二重取りをしているケースがあります。
🧐 買い手が見極めるための「チェックポイント」
これらの費用が妥当かどうかを見極めるための、具体的な対策です。
| 費用項目 | 業者の言いなりにならないための防衛策 |
|---|---|
| 火災保険 | 見積もりをもらったら、補償内容(水災・破損など)をチェックし、価格.comなどの比較サイトでネット系損保(ソニー損保や楽天損保など)と同条件で見積もりを取って比べる。 |
| 登記費用 | 見積書の中で「登録免許税(実費)」と「司法書士報酬(手数料)」が分かれているか確認する。新築建売で、所有権移転・保存・抵当権設定1本であれば報酬が15万円を超えている場合は「高い」可能性大。(※売主指定で変更できないケースもありますが、交渉の余地はあります) |
| リフォーム | 引渡し後に、自分で地元の工務店や他社のリフオームを使い、必ず「相見積もり」を取る。 |
仲介会社に「火災保険やリフォームは、知り合いの業者にも見積もりを頼んでいるので、比較して決めますね」と最初にクギを刺しておくだけで、盛った見積もりを出されるリスクを大幅に減らすことができます。
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