マンションって建替えできるの?築60年以上の負動産の資産価値と建替事例!マンションの寿命とは?

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全てのマンションが建て替えできるわけではありません。建て替えできるマンションはほんの一握りでほとんどのマンションは建て替えできません。建て替えできるマンションには共通点があり、負動産を高値でつかんで、損をしないために、マンションの本質的な部分を、不動産業界歴20年以上のプロが徹底解説していきます。
建て替えできるマンションとは?負動産を選ばないための目利きが必要

建て替えができるマンションとは
①所有者が富裕層である
②立地がよく所有者がそのマンションに強い愛着がある
③容積率に余裕がある
基本的には、マンションの建て替えは現実的ではないつまりできないと考えて購入すべき!
管理のいいマンションを選びメインテナンスをしっかりとやっていくことが大切!
都市型集合住宅の原点と未来を考えます。
現在、分譲マンションの建て替えは、絶望的で現実的ではありません。
関西エリアでは、千里ニュータウンエリアの千里中央、桃山台で昭和46年建築、昭和47年建築の築40年以上の分譲マンションが3000万円以上の金額で取引されることがあります。容積率に余裕があり、所有者がお金を出さずに建て替えが可能な物件ばかりです。つまり、マンションに対しての価値ではなく、土地をお金に換算して取引されています。
敷地面積があり、容積率が余っている場合は、将来分譲会社がいい金額で買い取ってくれる可能性がありメリットがあるかもしれません。しかし、民間が分譲している容積率に余裕がない物件でありながらそこそこいい金額で取引されていることに驚く物件が存在します。建て替えのできない物件は、ババ抜きの状態でしかありません。
金銭的理由で建て替えは一筋縄にはいかないであろうことを考えると、ロケーションの悪い古いマンションは手を出すべきではないと思います。
おそらく管理費、修繕積立金を払い続けるだけになる可能性が高くなると思います。
最後は、バブル期のリゾートマンションのように投げ売り状態になると予想します。
購入する場合は賃貸で考えた場合、金額が割に合うか合わないかをシビアに判断するしかないと思います。
負動産を選ばないための目利きが重要
負動産を購入してしまうと大変なことになります。資産価値はなく、二束三文です。それだけでなく、毎月の管理費・修繕積立金が発生します。マイナスです!
関連記事:コンパクトシティ計画とマンションの資産価値!資産価値の高いマンションの選び方とマンション購入前に確認すべきこと
気になる民間の分譲マンションの建て替え

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ポイントは、敷地が小さい容積率がそれほど余裕のない民間の分譲マンションでも建て替えできる可能性がゼロではないという事です。
初の民間分譲マンション解体=築61年、老朽化での建て替え。
1956年に建設された初の民間分譲マンション「四谷コーポラス」(東京都新宿区、5階建て、28戸)が解体されるというニュースが以前ありました。
完成から60年以上がたち老朽化したためで、2019年夏に地下1階、6階建て(51戸)に建て替え。事業主体は、旭化成不動産レジデンス(東京)。
四谷コーポラスは現金一括払いではなく、初めて割賦販売が適用された分譲マンションとしても知られ、高額なマンションが庶民に普及するきっかけになったとされ、当時としては珍しい、住居が上下階に分かれた「メゾネット」タイプ(3LDK、約77平方メートル)の間取りが大半で、販売価格は233万円だったそうです。大卒初任給が1万円程度だった当時では時代の最先端を行く高級住宅です。
千里ニュウータウンの千里中央界隈の分譲マンションも昭和47年ころの売り出し価格は、200万円から300万円ほどと聞いています。
「四谷コーポラス」は、1956年(昭和31年)竣工の築61年を迎える集合住宅で、「日本の民間企業としては初期に販売した分譲マンション」とされる建物です。
1962年の区分所有法施行以前の建物で、所有形態の位置づけや共用部の管理責任などが明確ではなかった時代に初めて民間企業による運営管理がなされ、また、住宅ローンが現在のように一般的でない中で割賦販売が導入されるなど、その後広く行われているマンション販売の先駆けとなった建物です。
建て替え後は、区分所有者の9割が再建マンションを再取得。
今回の建替えの特徴は、敷地規模の限られた小規模マンションの建替えであり、床面積が大きく増えるケースでないにも関わらず、至便な立地の暮らし勝手の良さや住まいへの愛着から、区分所有者の大半が再建後のマンションを再取得することを前提に計画されたことに希望を感じます。
1956年に誕生した日本初の民間分譲マンション「四谷コーポラス」の建て替え(2019年完成)は、不動産業界でも「奇跡の成功例」の一つに数えられています。容積率が余っていない分譲マンションが建て替えが成功した数少ない事例としてこの 「四谷コーポラス」の建て替えから、老朽化マンションの建て替えの可能性の方程式が垣間見られます。この方程式から、築20年~築30年以上経過したマンションを購入時選別するための材料として生かしていただければと思います。
後述にて説明する宮益坂ビルディングや同潤会アパートのような「容積率の爆増による打ち出の小槌」が使えない厳しい条件下(少しだけ床面積が増えています。)で、なぜ成功したのか。他の成功事例と大きく違うのが、1000万円以上の追い金が発生しているにもかかわらず成功している点にあります。その大きな理由は、「最強の立地」と「最強のコミュニティによる合意形成」にあります。成功要因はいくつか考えられますが4つのポイントに絞ってまとめました。
1. 容積率に余裕がなかった「逆境」にもかかわらずほぼ全員の合意形成
宮益坂などの成功例(後述で解説)と決定的に違うのは、「建て替えても床面積がほとんど増えなかった」点です。そのため自己負担が発生しましたが、 建替決議(約80%以上)だけでなく、最終的に全員合意まで到達していることが重要なポイントです。
- 通常、増えた床(余剰床)を売って建築費を賄いますが、四谷コーポラスは第一種低層住居専用地域という厳しい制限下にありました。 そのため、建替後は戸数増(28戸 → 約51戸) ですが、建て替え費用の持ち出しが発生しました。
- 床面積をそれほど増やすことができなかったので、住民は平均して「約1,300万円〜2,000万円超」の自己負担を強いられました。(多くの一般的なマンションは、容積率に全く余裕がないので3000万円以上の出費を覚悟しなければいけません。)
この「多額の追い金」が必要な状況で、再取得率(戻ってきた住民の割合)が約9割という数字は、実務的には驚異的なことです。
2. 成功を支えた3つの「ソフトパワー」とデベロッパーの介在
① 「君子のコミュニティ」と呼ばれる住民の結束
このマンションには、分譲当時からの居住者やその親族が多く住み続けていました。
- 高い民度: 理事会だけでなく、住民同士の「横のつながり」が非常に強く、互いを思いやる土壌がありました。
- リーダーの存在: 長年信頼されていた元理事長や、住民から信頼の厚い外部コンサルタントが調整役となり、感情的な対立を最小限に抑えました。
② 透明性の高い「コンペ方式」でのパートナー選定
デベロッパー選定の際、一部の役員だけで決めるのではなく、住民全員による「採点方式」を採用しました。
- 各社の提案を全員で評価し、プロセスを完全にオープンにしました。
- 「なぜこの会社になったのか」という不満を根絶したことが、最終的な全員合意に近い形(決議は全員合意)に繋がりました。
③ 高齢者への「至れり尽くせり」の個別サポートと “戻れる設計”=オーダーメイド型で不満を潰した
建て替えの最大の敵は「高齢者の不安」です。パートナーとなった旭化成不動産レジデンスは、以下のサポートを徹底しました。デベロッパーの介在が建て替え成功への要因の一つになったと考えられます。
- 専任サポート: 書類の書き方、仮住まいの内覧同行、引っ越しの手配まで、一人ひとりに寄り添いました。
- 専有部の自由設計: 「元の間取りに愛着がある」という要望に応え、33パターンもの間取りを用意するなど、ソフト面のケアを重視しました。 権利者向け住戸は要望に応じたオーダーメイド設計 にして、 新規販売住戸と分けて設計したことも成功の要因と考えられます。
3. 歴史的価値への「愛着」・ 立地が強く、事業として成立
「日本初の民間分譲マンション」という誇りが、住民の間に「この建物を未来に繋げたい」という共通の目的意識を生んでいました。 JR四ツ谷駅徒歩5分の都心立地で、 建替後は戸数増(28戸 → 約51戸) となり 余剰床(保留床)を売却することにより追い金の金額が減額でき、 デベロッパーが乗れる案件だったことも大きな成功要因といえます。
- 新築された「アトラス四谷本塩町」は、旧建物の特徴だった青い玄関扉やメゾネット形式など、「コーポラスらしさ」をデザインに継承しています。
4.小規模で合意形成がしやすく “建て替えしないと無理”という状況だった
築61年の超老朽マンションで、 耐震不安(特に東日本大震災後に顕在化) があり、 配管など設備も限界にきていたので、選択肢が建て替えしないとムリという状況だったので、 「修繕か建替えか」ではなく、実質“建替えしかない”状態なので、小規模で合意形成がしやすさに加えてより合意形成に有利に働いたというのも成功要因の一つだと考えられます。
【プロの視点】総戸数が少なすぎる(20戸以下など)マンションは合意形成がしやすいメリットが有る反面、1戸あたりの管理費・修繕積立金の負担が重くなりやすく、将来的に維持不能になるリスクが高いのも事実です。 「四谷コーポラス」の建て替えの事例は、レアなケースと考えるのが、正しい捉え方です。
なぜ「逃げる」必要がなかったのか
多くのマンションが「経済的合理性(得するか損するか)」で揉めて「逃げる(敷地売却)」か「放置」を検討して逃げ道を模索していきますが、四谷コーポラスは「この場所で、この仲間と住み続けたい」という強い意志がお金の壁を乗り越えた極めて稀なケースです。
実務的な教訓としては、以下の通りです。
「経済的ボーナスがないマンションを建て替えるには、30年かけて築いたコミュニティの信頼関係が必要である」
もし、今お住まいのマンションにそこまでの結束力がないのであれば、「敷地売却(逃げ)」ができるのかどうかを考え、敷地売却が難しそうであれば、いち早くババ抜きから抜け出すためそのマンションを売却して逃げ切るのが2026年現在の最も現実的なリスク管理と言えます。
関連記事:新築マンションの40年後!マンションの資産価値は立地で決まる!美和コーポ(滋賀県野洲市)

大阪エリアでの千里ニュータウンの新築マンションへの建て替えの特徴は、広大な敷地を利用して、余った容積率を利用して高層化して、等価交換により、持ち出しなし(追い金なし)つまり区分所有者に負担がない状態での建て替えということで、四谷コーポラスの建て替えは、敷地の小さなマンションの建て替えに希望を感じます。やはり重要なのは、立地、ロケーションです。
基本的には、マンションは建て替えができないという前提で、購入すべき!
建て替わっているマンションのほとんどは、余っている容積率を利用して、所有者の負担がほとんどない状況で建て替えにこぎつけている!
関連記事:マンションの深刻なスラム化!建て替えできる共通点は!スラム化しないマンション選びの鉄則
日本初の分譲マンション 「宮益坂ビルディング」 の建て替え

日本初分譲マンションである1953年に東京都が販売した「宮益坂ビルディング」(渋谷区)の建て替えは、立地がよくても建て替えに25年かかったという事実が、建て替えの難しさを物語っています。
1953年に日本初の分譲マンションとして誕生し、2020年に「宮益坂ビルディング ザ・渋谷レジデンス」として生まれ変わったマンション建て替えの伝説的な成功事例です。
なぜ、全国で建て替えが難航する中、この物件は成功したのか。その理由は、他の物件では真似できない「圧倒的な好条件」と「粘り強い交渉」が組み合わさったことにあります。
1. 圧倒的な「立地」と「容積率」のボーナス
これが最大の成功要因です。
- 渋谷駅徒歩1分: 渋谷ヒカリエの隣という、日本屈指の超一等地でした。
- 容積率の大幅緩和: 建て替え前は地上11階建てでしたが、東京都の「特定街区」制度などの活用により、容積率が大幅に加算されました。その結果、新ビルは地上15階・地下2階と規模を拡大でき、増えた分の床を売却することで、住民の持ち出し費用を極めて低く(あるいはゼロに)抑えることができました。
2. 「日本初」という歴史的価値
1953年築という「日本初の分譲マンション」というブランド力があったため、デベロッパー(旭化成不動産レジデンス)にとっても、採算以上に「象徴的なプロジェクト」としての意欲が非常に高かった点も挙げられます。
3. 事業協力者の粘り強さと「等価交換」
実は、このプロジェクトはすんなり進んだわけではありません。1990年代から検討が始まり、実現まで約25年を要しています。
- 複雑な権利関係: 住宅だけでなく店舗や事務所も混在しており、それぞれの利害調整が困難でした。
- 旭化成のノウハウ: 建て替え事業に強い旭化成が事業協力者として入り、反対派や権利者一人ひとりと徹底的に対話を重ねることで、ようやく「3/4(または4/5)」の合意に漕ぎ着けました。
4. 店舗・オフィスの賃料収入という出口
宮益坂ビルディングは純粋な住宅だけでなく、下層階に店舗や事務所が入る「複合ビル」です。
- 建て替え後も、好立地ゆえに高額なテナント賃料が見込めるため、区分所有者にとっては「住む」だけでなく「収益を生む資産」としての魅力が維持されました。これが高齢の所有者にとっても、建て替えに賛成する経済的な動機となりました。
なぜ「普通」のマンションでは真似できないのか
宮益坂ビルディングが成功したのは、「立地が良すぎて、建て替え後の価値が爆発的に上がったから」に尽きます。
- 一般的なマンション: 建て替えても床面積が増えず、住民が3,000万円以上払うことになります。
- 宮益坂ビル: 建て替えると床面積が激増し、その売却益で工事費が賄えるため、住民はほぼ手ぶらで新築に住み替えられる。
築80年の 賃貸住宅「同潤会アパート」の建て替え
関東大震災(23年)の復興事業として東京や横浜で建設された鉄筋コンクリート造りの賃貸住宅「同潤会アパート」は2015年までにいずれも解体・再開発されていて、 青山アパート(1927年建築・築80年)は表参道ヒルズに生まれ変わり、東端の1棟は、有名建築家安藤忠雄の設計によって外観が忠実に再現され、「同潤館」として商業施設の一部となっています。(森ビルによる再開発)

コンクリートの寿命は100年くらいは大丈夫といわれています。また、 同潤会アパート の事例からすると、きっちりとメインテナンスをやっていけば、100年くらいは持ちこたえることができると考えることができます。しかし、きっちりと維持管理していくことが前提となり、多くのマンションでは、建て替えはできないので、メインテナンスをしっかりしていき寿命を少しでも延ばすためにやっていくしかありません。
その前提で、購入するかしないかを決断していく必要があります。そもそもなぜ 「同潤会アパート」の建て替えがうまくいったのか? 結局「宮益坂ビルディング」の成功と要因が重なります。
「同潤会アパート」の建て替え成功(代表例:表参道ヒルズとなった青山アパートなど)は、マンション再生の歴史において非常に重要なケースですが、その理由は「究極の立地」と「時代背景」、そして「都市計画を味方につけたこと」に集約されます。
宮益坂ビルディングと同様、現代の一般的なマンションが真似をするにはハードルが非常に高い「特殊な成功要因」がいくつも重なっています。
1. 土地の価値が「建物」を圧倒していた
同潤会アパートの多くは、表参道、代官山、広尾といった、現在では考えられないほどの超一等地に建っていました。
- 容積率の余剰: 当時は低層(3階建て程度)でゆったりと建てられていたため、現代の法規に当てはめると、「上に高く伸ばす余地(未利用の容積率)」が膨大にありました。
- 増床分の売却益: 新しく高層化して増えた部屋を販売することで、既存住戸の建築費をすべて賄い、さらに住民に「お釣り」が出るほどの経済的余力が生まれました。
2. 「景観」や「文化」を切り札にした都市計画
特に青山アパート(現:表参道ヒルズ)が象徴的ですが、単なる建て替えではなく「街づくり」として進められました。
- 再開発等促進区: 自治体と協力し、公共貢献(並木道の整備や景観維持)を行う代わりに、通常では認められないレベルまで容積率をボーナスとして上乗せしてもらいました。
- 森ビルの参画: 単なる住宅メーカーではなく、街全体の価値を上げるノウハウを持つデベロッパーが主導したことで、商業施設と住宅を融合させた高収益モデルが成立しました。
3. 「老朽化」が限界を超えていた(安全の大義名分)
同潤会アパートは1923年の関東大震災を機に建てられた「鉄筋コンクリート造の先駆け」でしたが、1990年代〜2000年代の建て替え時には築70〜80年を超えていました。
- 住環境の劣悪化: 配管の露出、雨漏り、耐震性の不安が限界に達しており、「このままでは住めない」という共通認識が住民間で非常に強かったため、合意形成が比較的スムーズに進みました。
4. 時代のタイミング(デフレ期の低コスト)
表参道ヒルズ(2006年完成)の事業が進んでいた時期は、2026年現在の現在とは比較にならないほど「建築費」が安かった時代です。
- 当時は坪単価が100万円を切ることも珍しくありませんでした。「低い建築費 × 高い土地代」という方程式が完璧に成立していたのです。2026年現在では坪単価が150万円を超えることも珍しくありません。
関連記事:マンションの不動産取引で知っておくべき分譲単価とは?1種単価とは?
マンションの寿命は?築50年のマンションに資産価値はあるのか?

2010年代のマンションの寿命はどれくらい?
すべてのマンションは、そのうち取り壊されるか廃虚になります。最近の新築マンションでは、鉄筋コンクリート造の建物は100年の耐用性があると言われています。結論からいいますと、立地のいいマンションであれば、築40年、築50年の物件でも価格次第では購入を検討する余地はあると思います。
昔の分譲マンションのコンクリートと今のコンクリートの質を比べると、かなりよくなってきていると感じます。
100年持つだろうというのは、「適切な維持・管理を施す場合」ということが前提でしかありません。それができなければ、100年を待たずしてスラム化するかもしれません。
適切な維持・管理が重要!
コンクリートの原料はセメントと砂利・砂等と水からなっています。基本的な性能は、原料の質と配合割合で決まります。また製造から施工までの工程、時間管理によって、品質が変わります。
コンクリート強度が18N/m㎡の場合、限界は約65年
コンクリート強度が24N/m㎡~27 N/m㎡ の場合、限界は約100年
まず、資産価値が喪失すると、中古として買い手がつかない状態になります。
こうなると、 資産価値のない物件に対して維持費を払うモチベーションは急速に失われ、管理費や修繕積立金の滞納が頻発するようになります。
管理費の滞納が頻発すると、管理組合にお金がなくなり、業務委託先の管理会社への支払いが滞り、業務委託契約を打ち切られます。
管理会社が逃げてしまい、新たな引き受け手が見つからないと、マンションにとって必要な管理業務が行われなくなります。
例えばエレベーターは定期点検ができなければ使えなくなる。受水槽は清掃していないと蛇口から汚れた水が出てくる。共用部分の電気代が払えないと、オートロックが作動しなくなります。
鉄筋コンクリートは大丈夫であったとしても、まず資産価値が喪失し、次に管理不能に陥れば、マンションはスラム化へ突き進みます。
現在、新潟県の湯沢町では約30年前に建てられたリゾートマンションの、かなり多くの物件において資産価値が喪失しているが、まだ管理不能の状態には陥っていないそうです。管理組合が、管理費などの滞納者に対して厳しく督促したり競売に掛けたりして、管理不能を防ごうと活動しているからだそうです。
中には管理規約で民泊を認めた管理組合もあり、民泊で収益が生まれることが分かれば、喪失された資産価値を呼び戻せるかもしれないからです。
1980年代に建てられたマンションの寿命はどれくらいなのか?
1980年代に建てられたマンション(いわゆる「新耐震基準」初期の物件)は、現代の建築技術やメンテナンスの常識に照らせば、「適切に維持管理を行えば、70年~80年持たせることは物理的に可能」といわれています。
しかし、そこには「コンクリートの寿命」だけではない、「3つの寿命」という現実的な壁が立ちはだかります。
1. 物理的寿命(コンクリートの耐用年数)
理論上、鉄筋コンクリート(RC)造の建物は、適切に補修されれば70年~80年以上の寿命があります。
- 1980年代の質の高さ: この時代のマンションは、バブル経済の影響もあり、コンクリートの被り厚(鉄筋を覆うコンクリートの厚み)がしっかり確保されている良質な物件が多いのが特徴です。
- メンテナンスの鍵: 12〜15年ごとの外壁塗装や屋上防水、そして「中性化」を防ぐ処置を怠らなければ、70年~80年はもつ可能性は高いといえます。
2. 機能的・社会的寿命(現代の生活に耐えられるか)
物理的に壊れなくても、「住みにくさ」が寿命を決めることがあります。1980年代物件が直面する大きな課題は以下の3点です。
- 配管の劣化: 最大の懸念は「配管」です。床下のコンクリートに配管が埋め込まれているタイプ(スラブ打ち込み)の場合、更新が非常に難しく、水漏れが致命傷となり得ます。
- 断熱・省エネ性能: 1980年代は断熱材が薄く、冬は寒く夏は暑いのが一般的です。2026年現在の光熱費高騰や省エネ義務化の流れの中で、窓(サッシ)の交換や断熱改修を行わないと、「住むのにコストがかかりすぎる家」になってしまいます。
- インターネット・電気容量: テレワークや家電の高機能化に対し、共用部の電気容量や通信インフラが追いつかなくなるケースです。
3. 経済的寿命(修繕費の限界)
結局のところ、何年持つかは「修繕積立金が足りるか」という一点に集約されます。
- 修繕費の右肩上がり: 築50年を超えると、エレベーターの全交換、配管の更新、機械式駐車場の撤去など、億単位の工事が続きます。
- 住民の二極化: 「3,000万円払って80年持たせよう」という層と、「そんなお金はないし、あと10年住めればいい」という層で合意形成ができなくなった時、そのマンションの「管理寿命」は尽き、実質的な寿命を迎えます。
関連記事:マンションの不動産取引(旧法地上権・旧法借地権・定借のマンションとは)
老朽化マンション再生へ “画期的”技術が登場
やはりマンションは管理が重要なポイントです。
多くの老朽化マンションにとって「敷地売却」は最も現実的、かつ「唯一の出口」になり得る選択肢
経済的な理由を考えると、建て替えは現実的ではありません。なぜ「建て替え」よりも「敷地売却」が現実的なのか、法律面と実務面の両方からその理由を整理します。ただし、敷地売却も買い手がいて初めて出口になり得ます。買い手が付かない土地つまり利用価値のない立地条件の悪いマンションは、負の遺産にしかならないことが前提となります。
1. 法改正による敷地売却の可能性が高まる
2026年4月施行の改正法(区分所有法およびマンション建替円滑化法)により、敷地売却への道筋が法的に非常にスムーズになりました。
- 決議要件の緩和: 耐震不足などの認定があれば、これまでの「4/5(80%)」から「3/4(75%)」の賛成で売却が可能になりました。
- 所在不明者の除外: 連絡が取れない所有者を分母から除外できるため、「反対はされないが賛成も得られない」という膠着状態を打破できます。
- 分配金取得計画の明文化: 売却後の代金をどう分けるかのルール(分配金取得計画)が整備され、反対者に対する買い取り手続きも法的にパッケージ化されています。
2. 「追い金」が発生しない経済的メリット
「建て替え」との決定的な違いは、住民が身銭を切る必要がない点です。(買い手がいればという前提)
- 建て替え: 数千万円の「持ち出し(自己負担)」が発生し、払えない人が出た時点で計画が止まります。
- 敷地売却: マンション全体をデベロッパー等に売却し、その代金を区分所有者で分け合います。手元にお金が残るため、それを元手に「次の住まい(住み替え先)」を探すという、前向きな撤退が可能になります。
3. デベロッパー側のニーズとの一致
建築費が高騰している今、デベロッパーにとっても「既存住民の要望を100%聞きながら進める建て替え」は非常にリスクが高い事業です。
- 敷地売却なら: デベロッパーは「更地」に近い状態で土地を取得できるため、自由度の高い新築計画を立てやすく、ビジネスとして成立させやすくなります。
- 買受人の選定: 法律上、売却先(買受人)をあらかじめ決めてから決議を行うため、出口が保証されている安心感があります。
買い手が付かないマンションは負の遺産となる

出口戦略の希望の星である敷地売却は「誰かがその土地を欲しがっている」ことが大前提の出口戦略であり、買い手(デベロッパー等)が現れない限り、机上の空論になってしまいます。
もし敷地売却でも買ってくれる会社がない場合、マンションは非常に厳しい「負のスパイラル」に陥ることになります。その末路として考えられるシナリオは主に3つです。
1. 「修繕の無限ループ」とスラム化
買い手がいないということは、その土地に「新しく建物を建てて利益を出す魅力がない」と判断されたことを意味します。そうなると、住民は今の建物にしがみつくしかありません。
- 修繕費の急増: 築年数が経つほど修繕箇所は増え、工事費も高騰します。
- 管理費の未納増: 建物がボロボロになると資産価値が下がり、売却も賃貸もできなくなった部屋が放置され、管理費が入らなくなります。
- 結果: 適切な管理ができなくなり、外壁の剥落や配管の破裂が放置される「スラム化」が進みます。
2. 自治体の強制執行による解体
2026年現在、改正マンション管理適正化法などに基づき、自治体の監督権限が強まっています。あまりに危険な状態が放置されると、以下のような行政介入が起こり得ます。
- 助言・指導・勧告: 自治体から管理組合に対して、改善を求める強い圧力がかかります。
- 行政代執行: 万が一、建物が崩落して周囲に危険を及ぼすと判断された場合、自治体が強制的に解体することがあります。ただし、その解体費用(数億円単位)は、後で区分所有者に請求されます。
3. 「建物除却(解体)」のみ実施しても負の遺産を抱えるだけ
土地を売却せず、老朽化した危険な建物だけを取り壊して更地にするという選択です。鉄筋コンクリートの解体費用は一住戸(70㎡くらいを想定)あたり400万円~500万円のコストがかかります。鉄筋コンクリートは解体するだけでも高額なお金が必要です。
- 土地だけ残る: 建物がなくなれば、区分所有者は「土地の持ち分」を共有するだけの状態になります。
- 固定資産税の跳ね上がり: 住宅が建っていることで受けられていた「住宅用地の特例(税金の軽減)」が解除され、土地の固定資産税が最大6倍に跳ね上がります。
- 出口のなさ: 更地にしても買い手がいない場所であれば、ただ高い税金を払い続けるだけの「負動産」を抱え続けることになります。
老朽化マンションのババ抜きはもう始まっている!

不動産実務の世界では、今や「逃げ切る(=価値があるうちに手放す)」ことは、非常に賢明で戦略的な勝利だと言えます。老朽化マンションの中にも、敷地売却すらできないマンションが多く存在します。
かつては「家を子孫に残す」ことが美徳でしたが、建築コストの高騰と人口減少が加速する2026年の日本において、老朽化マンションを持ち続けることは、資産ではなく「将来の多額の債務(修繕費・解体費)」を持ち続けることに等しいからです。
なぜ「逃げるが勝ち」なのか、3つのポイントで整理しました。
1. 「ババ抜き」の最終局面
マンションの老朽化が進むと、ある時期を境に「修繕もできない、売却もできない」というデッドロック状態に陥ります。
- 逃げ切れる人: まだ買い手がつくうちに売却し、現金化して次の住まいに移れる人は逃げ切れるかもしれません。
- 逃げ遅れる人: 限界まで住み続け、いざ売ろうとした時には「買い手不在」や「解体費負担」を突きつけられる人は、逃げ切ることはできません。 特に2026年現在は、改正法によって「敷地売却」という出口が使いやすくなった直後です。このタイミングで決断できる管理組合は、いわば「勝ち組の撤退」を選べる最後の世代かもしれません。
2. 経済的な「損切り」の重要性
「住み慣れた場所だから」という感情は大切ですが、経済面で見ると損切りの判断が不可欠です。
- 3,000万円の追加負担をして建て替えても、その後の30年でさらに維持費がかかります。
- 今、敷地売却で100万円でも手元に残れば、それを元手に賃貸や高齢者施設、あるいは利便性の高い中古物件へスライドできます。 「マイナス(負担)」を最小限に抑えて「プラス(現金)」で終わらせることが大切です。多少のマイナスでも逃げた方がいいかもしれません。これは立派な資産運用です。
3. 次世代への「負の遺産」の回避
これが最も大きなポイントかもしれません。
- 逃げ遅れたマンションの区分所有権を子供が相続すると、住んでいないのに管理費・修繕積立金・固定資産税を払い続け、最後には数百万〜数千万円の解体費を請求されることになります。
- 自分の代で「敷地売却」を成立させて精算しておくことは、子供世代への最大の贈り物になります。
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