売り出し価格と成約価格の違い
売却相場について重要なことがございます。
それは「売り出し価格」と「成約価格」は違うものであるということです。売り出し価格とは不動産広告などで掲載されている中古物件の価格のことです。
この価格は必ずしも市場調査を基にした適切な金額とはなっておらず、仲介会社が査定した金額をベースにはなりますが、売主が「この値段で売りたい。」と思った値段も価格として加味されますし、仲介会社の査定金額も、売主様に気に入ってもらって、媒介契約を取りたいがために高値で査定することは普通によくあることです。
又、早急な売却を望む場合には売主が安めに値段を設定することもありますし、売り急がない場合は高めの値段に設定されることもあります。
一方で「成約価格」とは不動産取引が成立した際に売主と買主に間で交わされる売買契約書に記載されている価格ことです。
売り出し価格はあくまでも希望価格でしかなく、実際の成約価格と一致しない場合が多く、売れ残ってしまった物件の場合、大幅に売り出し価格よりも値下げされる場合がよくあります。
また売り出し価格と成約価格の差が大きい場合がよくあります。
エリアにもよりますが、不動産価格が高騰していますが、同時に売り出し価格と成約価格に大きな差があります。
思い入れが強いほど、高値で売りたいという気持ちが強くなりますが、引き合いの状況をきっちり把握して、期限をきって、価格変更することは大切です。
株式相場に「見切り千両」という言葉があるように売れ残り感がでてズルズルと売れ残ってしまうのは避けたいところです。
売り出し価格と成約価格はどれくらいの差があるのか?
自宅の売却において、「売り出し価格(希望価格)」と「成約価格(実際に売れた価格)」の差は、一般的に3%〜10%程度と言われることが多いですが、直近(2026年現在)の市場では少し複雑な動きが見られます。
物件種別(マンションか一戸建てか)やエリアによって大きく異なりますので、最新の傾向をまとめました。
①中古マンション:乖離が広がる「ワニの口」現象
都心を中心にマンション価格が高騰しすぎた結果、売主の強気な設定と買主の予算が合わなくなり、その差が広がる傾向にあります。
- 平均的な差: 約4% 〜 7%前後(首都圏)
- 最新の傾向: 2026年に入り、都心部では売り出し価格と成約価格の差が3割近くまで拡大しているケースも報じられています。
- 背景: 「もっと高く売れる」という期待感で高値に据え置く売主に対し、ローン金利の上昇や物価高で買主が慎重になっているため、最終的に大幅な値引き交渉が入る事例が増えています。
②中古一戸建て:マンションよりも差が大きい
一戸建てはマンションに比べて「定価」が分かりにくいため、売り出し価格と成約価格の差が大きくなりやすいのが特徴です。
- 平均的な差: 約10% 〜 20%前後
- 金額の目安: 首都圏では、売り出し価格から500万円〜800万円ほど下がって成約するケースも珍しくありません。
- 理由: 土地の境界問題や建物の劣化状況など、個別要因による値引き交渉が発生しやすいためです。
③なぜ価格に「差」が生まれるのか
ほとんどの場合、以下の3つのプロセスで価格が下がります。
- 戦略的な「チャレンジ価格」: 不動産会社が「まずは高めで出してみましょう」と提案し、反応を見ながら段階的に下げていく戦略をとるため。
- 指値(さしね)交渉: 買主から「3,100万円なら即決します(300万円引いてほしい)」といった具体的な値引き交渉が入る。
- 売却期間の長期化: 売り出してから3ヶ月以上経つと「売れ残り感」が出てしまい、価格を下げざるを得なくなる。
④損をしないためのアドバイス
- 「成約事例」をベースに考える: ポータルサイトで見かける価格はあくまで「売主の希望」です。不動産会社に、実際に近隣でいくらで取引されたかの「成約事例」を必ず見せてもらいましょう。
- 値引き幅を見込んでおく: あらかじめ「端数の数百万円は交渉で下がるだろう」と予測して売り出し価格を設定するのが、スムーズな売却のコツです。
目安の計算式: おおよそ 「査定価格(相場・適正価格) × 1.05 〜 1.10」 くらいで売り出しを始め、交渉で数%引いて成約させるのが、現在の市場では現実的な落とし所と言えます。
今は市場の転換点とも言われており、地域によって動きが激しいため、まずは周辺の最新の成約状況を詳しく確認されることをおすすめします。査定価格は、適正価格(相場)ではないことが多いので注意が必要です。あくまでも媒介契約を取るためだけに高い査定をすることが業界では一般的です。
なぜ相場と乖離した金額で売り出されることがあるのか?
売主が相場よりも高い、いわゆる「強気な価格」で売り出すのには、単なる欲張りだけではない、不動産取引特有の事情や心理的な背景がいくつかあります。
大きく分けると、「売主の個人的事情」「不動産会社の戦略」「心理的要因」の3つに集約されます。
①売主の個人的な「お金」の事情
不動産は「いくらで売れるか」よりも先に、「いくらで売る必要があるか」という事情が優先されることが多々あります。そのため、諸費用ローンとかを組んでいると残債の減りが少なく、築浅物件だと、値下げされた新築と逆転現象が起こり、新築の方が安く売られていることがあります。
- 住宅ローンの残債: 「残っているローンを完済しないと抵当権を抹消して売却できない」というルールがあるため、相場が3,000万円でもローンが3,500万円残っていれば、3,500万円以上で売り出さざるを得ないケースです。
- 住み替え先の資金計画: 次に購入する新居の頭金や諸経費を算出しており、「この金額で売れないと次の家が買えない」という、売主側の資金繰りから価格が決まるパターンです。
②不動産会社の「受託(媒介契約取り)」戦略
不動産会社が売主から売却を任される(媒介契約を結ぶ)ために、わざと高い査定額を提示することがあります。特に一括査定を利用する場合、相場とかけ離れた金額で査定されることが一般的です。本当に売れる金額つまり適正価格を知っていないと結果的に、相場より安く売らされることになるので注意が必要です。
- 高値提示の誘惑: 売主は「高く売ってくれる会社」に頼みたい心理が働きます。複数の会社に査定を依頼した際、相場が3,000万円のところに1社だけ「3,500万円でいけます!」と断言する会社があれば、そこを選んでしまいます。
- 「とりあえず高値」で囲い込む: 高値で契約を結んだ後、数週間売れない状況を作ってから「市場の反応が悪いので下げましょう」と説得する手法が、業界の一部では常套手段化しています。
③「交渉」を見越したバッファ
最初から「値引き(指値交渉)」が入ることを見越して、あらかじめ高めに設定しておくパターンです。
- 値引き幅の確保: 「300万円くらいは値切られるだろう」と予想し、本来売りたい価格に300万円上乗せしてスタートします。買主にとっては「安くしてもらった」という満足感、売主にとっては「予定通り」という着地を目指す戦略です。
④心理的な「アンカー(執着)」
売主にとって、その家には思い出やかけたコスト(リフォーム費用など)があり、客観的な市場価値以上の価値を感じてしまうことがあります。愛着が適正価格を見誤りさせる一番の理由です。ここにつけ込むのが不動産会社の常套手段です。
- 「愛着」のコスト: 「ここは注文住宅でこだわったから」「去年キッチンを新しくしたばかりだから」といった要素を、相場に過剰に乗せてしまうケースです。
- 損をしたくない心理(プロスペクト理論): 購入時よりも安く売ることに強い抵抗を感じ、「せめて買った時の価格(あるいはそれ以上)で」という心理が働き、相場を無視した価格設定になります。
まとめ:高すぎる売り出し価格のリスク
売主にとっては「高めに設定して、ダメなら下げればいい」と考えがちですが、これにはリスク・落とし穴もあります。
- 鮮度が落ちる: 売り出し直後が最も注目されますが、高すぎると検討リストから外され、価格を下げた頃には「売れ残り物件」というレッテルが貼られてしまいます。
- ポータルサイトの検索に引っかからない: 多くの買主は「3,000万円以内」などキリの良い数字で検索するため、3,010万円にするだけで、ターゲット層の目に触れなくなる可能性があります。
こうした背景があるため、買い手目線で考えると、もし気になる物件が相場より明らかに高い場合は、「売主が強気にならざるを得ない事情(ローンの残りなど)」があるのか、あるいは「単なるチャレンジ価格」なのかを見極めることが、価格交渉の鍵になります。

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